今月のヘイルメリー 10/30

トレーニング中断の顛末

● 遡ること6ヶ月。今年の春先から、ウィークエンドストア「ヘイルメリートレーディング」の開店準備が始まった。代官山にある20坪あまりの編集長ルームを、ライフスタイルストアに変更する内装工事である。大凡3ヶ月の時間を掛けて什器や棚やカウンターを製作したのだ。これまで勝手気ままに使っていた専用のワンフロアが、ほぼすべて売場に変わってしまうのである。その間、筆者の仕事道具や私物の置き場は編集部がある別フロアの一角を間借りすることになった。悠々自適だった仕事環境は、春を境に一変してしまったのだ。
 
●工事中の間、行き先を失ったのがフィットネス機器だ。筆者のそれはすべてがアメリカのメーカー。ハーフラックもリカンベントバイクも大型なので、どうしてもスペースを取ってしまう。間借りスペースに無理矢理押し込んだが、先住スタッフの目が気になってしまい一向にトレーディングをする気にはなれないのであった。よって、週4回のトレーニング(有酸素運動2回と無酸素運動2回)は半減してしまったのである。内装工事が終わると、今度はレイアウトや商品ディスプレイの開店準備が始まる。開店準備が終わると、いよいよグランドオープンが待っていた。その後は、編集作業とストア業務との二刀流での戦いがキックオフされるのだ。気が付くと、トレーニングの質と量も改善できずに半減したまま。急速にボディの張りと筋肉の密度が失われていく実感があった。
 
●これまでも創刊準備や怪我などによって、トレーニングを中断したことは幾度もあった。が、ジムと自宅での週2回のトレーニング(有酸素運動1回と無酸素運動1回)を実施していて、ここまでボディが変化してしまうのは驚きだった。例えトレーニング環境が変わっても、週2回のエクササイズでボディは維持できると考えていたからだ。パーソナルトレーナーにその実情を相談すると、要因は恐らく3つあるという。それは❶トレーニング強度の不足❷蛋白質の摂取不足❸年齢によるもの、とのことだった。❶と❷に関しては、なんとか対処が可能だ。が、❸に関しては手の打ちようがない。これが70歳の壁なのかもしれない。「この時が、ついに来てしまったのか?」という悪い予感がしている。
 
●正直に言うと、「もう、この辺でいいかな?」という思いもあった。これを機に“マッスル”を卒業して、健康的なボディの維持にシフトダウンするのである。そんな時、インスタグラムから流れてきた映像が、80歳で新作映画のアクションシーンに挑むシルベスター・スタローンだった。そのボディは、まるでキレキレの重戦車だった。筆者がトレーナーから指摘された❶トレーニング強度❷蛋白質摂取を遥か高いレベルでこなし、❸の70歳どころか、80歳の壁も楽々と飛び超えている現実を思い知らされたのだ。映像に映るスタローンの太い腕に、強く背中を押されたような気がした。
 
●翌日からホームジムの強化を始めた。現在、鎌倉の自宅に設置されているパワーラック、バーベルやダンベル、及びベンチ台で無酸素運動を、リカンベントバイクで有酸素運動を行っている。そして常設するマットでは日々ストレッチを実施している。よって、ジムとほぼ同様のエクササイズは可能なのだ。熟慮した上で、①チンナップスタンドと②ディップスタンドと③ブルガリアン・スクワットスタンドという自重中心の3機種を導入した。①では広背筋と大円筋に②では上腕三頭筋と大胸筋に、そして③では大腿四頭筋とハムストリングに強い刺激を与えることが主たるターゲットだ。この3機種の設置で、この先代官山の事務所では補助的なエクササイズだけで済むことになる。それに加えて、ホエイプロテインを復活させて、毎朝に摂取することにした。これらすべてをルーティンにして、概ね2週間が経過している。
 
●昨日、週一でストレッチをお願いしているトレーナーが胸筋を伸ばしながら、「小野里さん、マッスルメモリーが作動して上部大胸筋のサイズが元に戻ってきましたね」と言ってくれた。それは80歳の師、シルベスター・スタローンの見失っていた背中が、再び小さく見えた瞬間でもあった。