弊誌の読者は、40代から60代の中年世代が大半を占める。この世代の特徴は、様々な関係性を失うことにある。例えば両親の死、友人との繋がり、会社からの期待、家族との絆、健康だった身体、傾注できる趣味がそれに該当する。いま彼らは、自信を失ない孤独感に苛まれ気弱になっている。よって自分を殺し周囲に気を使いながら、物分かりの良い中年男を演じているのだ。そんな悲しい男からの決別を目的に、月刊『ヘイルメリーマガジン』は創刊された。我々が目指すのは、知的不良=ミスター・アンタッチャブルだ。知的不良として暮らす日々には、ハードボイルドな空気が流れている。然らば、孤独を楽しむ術を知る。一人の親友と愛犬がいれば充分。会社に借りは作らない。家族にも期待しない。翻って、ボディづくり或いは趣味とは真剣に向き合うのだ。が、ハードボイルドに生きると、時に絶対絶命のピンチにも遭遇する。それを切り抜けるための合言葉が、 「hailmary」なのだ。その意味は 「お願い、マリア様!」で、アメリカンフットボールにおけるラストプレーでの逆転タッチダウンパス=ヘイルメリーパスと同義なのである。
『ヘイルメリーマガジン』編集長の小野里 稔は、元アメフト選手でアメカジ歴50年を超えるベテランだ。70sにアイビー、カレッジ、ウエストコースト、ヘビーデューティーの各ジャンルをマスター。80sはアメリカのヴィンテージ衣料に傾注する。90sにライフスタイル誌の編集長に就くと、そのカルチャーとファッションを発信した。98年『Free&Easy』を創刊。ヴィンテージミックス、マックイーンスタイル、ラギッドアイビー、インディゴユル武装、クラシックアウトドア、ジャケットスタイルなどのファッションムーブメントを次々に起こした。ライフワークはアメリカンカジュアルの探究だ。そのテーマは“進化するアメカジ”で、ヴィンテージの復元にも現代での再構築にも異なる進化が必要だと唱える。それを検証するために日々アメカジ製品を購入、編集者生活の中でテストしている。『ヘイルメリーマガジン』の誌面づくりには、その検証がベースにあるのだ。『ヘイルメリートレーディング』では、小野里編集長のコレクション或いはストックの入れ替え、そしてテスト後及び誌面掲載済みのユーズド品をメインに販売をしている。